宝塚に恋して

美しいものを見ることには価値がある。

宙組「白夜の誓い」感想

 

スカステで放送された、宙組凰稀かなめさん主演「白夜の誓い」を観ました!

 

かなめさんトップの作品は「銀河英雄伝説」、「ベルサイユのばら」(2014)、「風と共に去りぬ」(スカーレット:七海さんver.)、「モンテ・クリスト伯」の順で視聴し、これで本公演は全部みれたかな。

ポスターがすごく綺麗だったので、観たいと常々思っておりました🙌

 

 

全体的な感想

微妙でした。

うーん、大きな山場はなく、淡々とストーリーが進んでいくのが退屈でした。

登場人物の心情がもっと掘り下げられてたら、もう少し心に響くものがあったのかなと思います。

でもお衣装が全部美しくて、皆のビジュアルが良かったので、そこを見るのが楽しかった!

あと星風まどかちゃんは組回りで早々に役が付いていたという話を実際に確認できて嬉しかったです☺️💓

 

何となく変わる登場人物の心情

私がこの作品で退屈に感じた1番の要因は、登場人物の心情が、皆なんとなく、自発的に、気付いたら変わっているところ。

 

グスタフⅢ世

最初はイザベルに恋していたので、その愛を貫くかと思いきや気付けば恋愛感情は消えている。

また、彼の平和を望む姿勢は伝わったが、強く印象には残らなかった。

 

ソフィア

最初は「かつての属国に嫁ぐなんて納得できないけど、これが私の役目だ。よってスウェーデンに馴染むつもりはない」という姿勢。それはそれで気高く美しくて好きだったが、突然「私はスウェーデンの王妃」と心変り。彼の無事を毎日祈り、最期には泣き叫ぶところまでくる。この変化がひたすら疑問だった。

さらにエカテリーナから「貴方はかつての私に似ている」発言をされるので、グスタフの死後はソフィアが決意をする(史実でないけど代わりに政治を主導する)伏線かと思いきやそれも無し。あの場面は何だったのか?

 

リリホルン

最初は王を守ることを理想とする一方で、父と兄のことで脅されグスタフを裏切ることに矛盾を抱え苦悩する。苦悩ソングまであるのでそこが掘り下げられるかと思いきや、自害をグスタフに止められて終了だったのでビックリ。そもそも父と兄は何だったの?という疑問でいっぱいだった。

こうしてリリホルンとグスタフの関係性は何となく深まったのでここもよく分からなかった。

 

アンカーストレム

グスタフとは幼い頃からの親しい仲だったが、ロシアとの戦争を機にすれ違いが起こる。この2人のすれ違いに関しては、どちらも正しいと思うのでそこは分かる。デュエットの歌詞にも「そうそうこれよね」と思えたし。(ヒロインを差し置いてでのデュエットだったのでちょっと笑った)

まぁ最後の闇落ちも分かるけど、出来事の重さの割に感情パートがあっさりで、小さく終わってしまった印象。

 

 

このように、ヒロインとも2番手とも別格とも他の娘役とも関係は満遍なくあったが、みな感情も意志も弱くブレブレで、大した信念も感じられなかった。

作中の人物に感情移入は出来なくても、その生き様に心惹かれるパターンの作品もあるが、今回はそれにも該当しなかった。

つまり、これだけ様々な登場人物がいたにも関わらず、誰のことも印象に残らなかったのだ。

 

ひたすら美しくはある

ここまでストーリーを貶したけれども笑

とにかく美しくはあったので、見て良かったとは思っている。

1番好きなのはソフィアがお輿入れで花道から華々しく登場するところ。

ドレスも全部綺麗だったし、かなめさんの高貴な御姿は絵画から飛び出してきたかのようで目の保養でした。

 

おわりに

公演解説には「叙事詩」とあるので、そもそも美しい歴史を見せるのが狙いだったのかなとも思いますが、私にはちょっと物足りなかったです。

でも本当に美しかったので、先生の美的センスには感謝🥲