宝塚に恋して

美しいものを見ることには価値がある。

月組「グレート・ギャツビー」感想

 

先日スカステで放送された、月組・月城かなとさん主演グレート・ギャツビーを見ました!

この作品はチケット取れなかったのです…🥲

 

 

全体的な感想

芝居の月組ってこういうことなんだな〜〜〜!!!

めちゃくちゃ良かった!!!!!

 

私一本物は途中で飽きが来るタイプですが、今回は物語に惹き込まれて一気に見ちゃいました。笑

原作を読んだだけでは分からなかった、この作品の良さ、美しさを感じ取ることができました。

特に海乃美月ちゃんのデイジーが素晴らしかったです!

そして作品をより美しく仕上げてくれた小池修一郎先生ありがとう!!!!

 

見る前のイメージ

チケットは取れなかったけど、それでも原作はその時期に読んだし、過去の上演作もスカステで放送されたのを以前見ました。

正直そんなに良さは分からなかったです🙂笑

デイジーを好きになれるかが鍵だと思うんですが、特に原作は全く感情移入も同情も出来ず、これが宝塚ヒロインとは辛いなぁ、とまで思ってました😂

原作では彼女は結局トムのところに戻ってギャツビーの葬式にも来ないので、ギャツビーのいいように利用された感が拭えなくて…。

 

しかし!

 

今回のはめちゃくちゃ良かったです!!!

かなり印象が変わりました!!!

 

海乃美月ちゃんのデイジーがすごく良かった

最初に登場したときのデイジーはふわふわしてて、良くも悪くも「お嬢様」という印象。

娘を抱き上げて「女の子は綺麗なお馬鹿さんがいい」と言う姿を見て、「それを貴方が言うの?」とまで思ってたんですよ🙂笑(ひどい)

 

それが回想シーンで印象がガラッと変わる。

 

5年前、ギャツビーと引き離されたデイジーが「馬鹿な女の子になってみせる」と力強く歌います。

もうそこで鳥肌!!!

 

デイジーがギャツビーに追いつけないことが確定して打ちひしがれてるのを見て、妹のジュディが「ブローチ、もらえないわね」と言ってたのも、賢い女の子デイジーと、そうでない女の子ジュディの対比がされててウッ…ってなっちゃいましたね…🥲

幸せな「馬鹿な女の子」が身近にいたことで、デイジーの苦悩はさらに深まったのでは?とまで考えてしまいます。

 

その後、ギャツビーと再会したデイジーが、徐々に感情を表に出して人間らしくなっていくところにもグッときました!

 

そうか、デイジーは「馬鹿な女の子」になっていただけなんだ!

と、そのときに気づくわけです。

 

そして最後のギャツビーのお葬式。

デイジーは無言でやってきて、お花をぽーんと投げてすぐに去ってしまう。

それでも、これが彼女の出来る最大限のギャツビーへの愛情表現なんだ…と涙が出ました。

 

実は私は海ちゃんの顔があまり好みではない(美人なのは分かる)ので、デイジーを受け入れられるかも、この作品を良く思えるかも微妙でしたが、海ちゃんデイジーが本当に素晴らしかったので、どちらも問題ありませんでした!

ヒロイン経験豊富で芝居の月組でずっと過ごしてきた娘役さんってやっぱりスゴいんだなぁと改めて思いました。

 

上流階級とそうでない人たちがよく見えた

マートルやウィルソン、コーラスガールのヴィッキーなど、上流階級でない人たちの演技がガチすぎて、彼らがトムたち上流階級の人たちに翻弄されてる感が増して辛かった…!

 

まず天紫珠李ちゃんのマートル。

「2人は間違った結婚の犠牲者」とトムを自分の王子様だと信じて疑わないマートルですが、彼女が死んでもトムは悲しがる素振りがない。

トムにとってマートルは、コーラスガールと同じく「楽しい遊び相手」の1人でしかなく、同じ人間として見ていないように思えます。

でもそれにマートルは全然気付いても疑ってもいないんですよね……🥲

本気でトムと愛し合ってると思ってて、夫に必死に嘘をつく姿や、引っ越しを知って取り乱す姿が、もう迫力が凄い。

 

それから光月るう組長演じるウィルソン氏。

めっちゃ怖かった〜〜〜!!!

大人しいっぽいけど、ちょっとキレたら何しでかすか分からない感じの雰囲気が、もう最初から出てた。

こういう人、いる。

そしたら案の定という感じで…🙂笑

でも彼もトムに振り回された犠牲者ですよね。

 

上流階級でない人たちがよく見えたことで、「上流階級と彼らに振り回される人々」という構図も、この作品の肝だったんだな〜と初めて気付きました。

映画「パラサイト」をちょっと思い出した。

 

おわりに

めちゃくちゃ良かった!!!!

ありがとう月組、ありがとう小池先生!