宝塚に恋して

美しいものを見ることには価値がある。

それでも私は宝塚歌劇が好き

 

宝塚歌劇団の報告書を全文拝読しました。

会見は見ていません。

読んだ方には不快に思われる内容かもしれませんが、こういう意見もあるということで、何もしないよりは良いと思って書きます。

 

 

報告書を読んでまず思ったこと。

想定よりちゃんとしてる。

 

もっと簡潔なものを覚悟していましたが、亡くなった生徒さんの行動や組内での出来事が詳細に記載されており、私は好印象を持ちました。

 

詳細は後述しますが、彼女はやらなきゃいけないことが沢山あって、いっぱいいっぱいだったんだろうな、と胸が苦しくなりました。

そこまでしてやらなきゃいけないことってあるのかな?とひたすら辛かったです。

 

 

それから、ヒアリング拒否が4名いたとのことですが、これに関しては「後ろめたいことがあるからか」もしくは「精神的に疲弊しており話ができる状態ではないから」なのか判別がつきません。

どちらかに該当する場合は、その方々こそが今回の鍵を握っているように思えるので、そこは時間がかかってもヒアリングをお願いしたいですね。

 

また、ヒアリング対象には元劇団員が1名とのこと。

これは少なすぎると感じました。

報告書によれば週刊誌の報道があってから組内で話し合いがあったとのことですから、当時に在団していた全ての劇団員にヒアリングを行うべきだったと思います。

 

あまりに驚いたのは、亡くなった彼女が新公長の期として演出助手のような役割もしていたこと。

そういった裏方の仕事は本来キャストが担うものではないので、そこの人員不足は早急に解消してほしいですね。

 

 

正直パワハラでは?と思うところはありました。

(ただ私は体育会系の組織に所属していたことがないので、パワハラ判定はかなりユルいと思います)

 

まずはヘアアイロンについて。

ヘアアイロンによるやけどは珍しくないという劇団の主張は、まぁそうだろうなという感じ。

正直ヘアアイロンでやけどした話ってそれなりに聞く(おでこに火傷の痕が残ってる子は全然いるという話を美容師さんから聞いたことがあります)し、あの人数が毎日髪を巻いていれば日常だろうと私は思います。

 

ただ個人的にどうなの?と思ったのは、週刊誌が出たあとに設けられた話し合いの場。

彼女は事前に「話したくない」と言ったため、出席はしても発言はしない状況だったとのこと。

 

これは微妙では???

 

彼女が「話したくない」と言ったならば、その話し合いを実施する意味ってあったんだろうか?

もちろん加害者とされた生徒にとっては必要だったのだろうけれど、故人への集団リンチ的に捉えられても仕方ない状況だと思います。

 

それから本役へのお声掛けコミュニケーションの件も気になりました。

 

亡くなった彼女は、本役へのお声掛けコミュニケーションが遅れた件で、上級生からお叱りを受けたとのこと。

上級生からの問いに始めは嘘の報告をし、後から回答を変えたため、それについても叱責があったそう。

 

報告書では、彼女が嘘をついたからそれに対しての叱責は当然だというような記述が。

 

でもここで問題なのは、彼女がなぜ始めは嘘をついたかだと思うんですよね??

 

それって正直に話したら怒られるって思ったからでしょ??っていう…。

確かに嘘の報告をするのは怒られて当然だけれど、そもそも本人がそう考えるに至った背景を問題視すべきだと思います。

 

 

パワハラとは下の人間が気をつけるものではなく、上の人間が「パワハラと受け取られないように」努めるものだと私は考えています。

少なくとも私の周囲ではそうです。

もし人によって受け取り方が異なると言うのならば、パワハラだと誤解されない状況と言い方にするべきです。

 

報告書ではひたすら上級生側に悪意があったか等の検証がされており、その点からまず違うのかなと。

ここで大事なのって、亡くなった生徒さんがどう感じてたかじゃないですか??

 

慣れない仕事が沢山あって睡眠時間も短くて、そんな中でキツいことを言われたら、たとえそれが正論でも、もうしんどくてたまらないと思いますよ。

外に逃げるとか少し休むとか、たぶん考えられないと思います。閉鎖的な空間なら特に。

 

ただ上級生が悪意を持っていなかっただろうとは私も勝手ながら思います。

きっと良い作品を作るため、下級生の成長のためだと思って、厳しく接したのだと。

自分もそれを乗り越えた結果があるから、下級生も大丈夫だろうと。

 

あとはやっぱりあれだけ大人数で一つのことを事故なく成し遂げるってかなり大変ですから、そのうえで厳しい上下関係が必要なのかなとも思いました。

(先日に某バラエティに出演されていた元タカラジェンヌを見て、ルールを守らないし上級生の言うことも聞かない子を統率するには、確かに厳しさは必要なのかも…と)

(自分の納得いかないルールがあっても、そのルールが作られた背景を理解するまでは、それに従うべきだと私は思うので)

 

でも完全に想像ですけど、今の上級生と下級生では置かれてる状況が全然違うと思うんですよね…。

「愛ある指導」ってあくまで指導する側とされる側とで信頼関係があるから成立するわけで、ここ3年は食事にもいけない状況で、今の上級生が下級生時代に築いてきたレベルの関係を、今の下級生と築くって難しかったんじゃないかな?

 

一般企業と一緒にしちゃいけないかもしれないけど、職場で話すのと食事で話すのって全然違うと思うんです。

仕事ではこういう印象だったけど、話してみたら実はこんなことを思ってたんだ!知らなかった!

って私は結構なります笑

そのおかげで仕事でも円滑にコミュニケーションができたり、変に嫌な捉え方をせずにすんだり、ってあると思います。

 

だからパワハラだと思える箇所はあったけれど、上級生にもそんなつもりはなかっただろうと私は信じています。

 

 

私が宝塚歌劇団に求める対策としては、まず裏方の仕事を演者にさせないこと。

 

アクセサリー制作についても外注してもらうのが良いと思います。

(完全に素人意見で恐縮ですが)たとえば元タカラジェンヌに個別に有償で依頼できる制度をつくるとか…!

そうすれば現役のジェンヌは外の住人であるOGとの繋がりが出来てアクセサリー以外の相談だってしやすいし、OGのせっかくのアクセサリー制作技術だって無駄にならずにすみます。

 

それから、人間関係のトラブルが起きることを前提に、逃げ道をちゃんと用意してあげること。

報告書によると、相談窓口の存在を知らない生徒さんも多かったとのこと。

(あれだけ忙しかったら当然ですよね)

記載のとおり、外部の通報・通報窓口は絶対に設置すべきです。

それもLINEやメールでも相談できたり、匿名でも可能にするなど、アクセスしやすい環境を構築してほしいですね。

 

 

自ら死を選んだ生徒さんがいることが、私はすごく悲しいしすごく辛い。

彼女の置かれた状況を想像するだけで涙が出ました。

彼女がこの道を選ぶ前に劇団は何とかしてくれなかったのか、どうしてこうなるまで放置していたのか、とも正直思います。

 

 

実は会見のあった日に月組公演を観劇しており、楽しめるか不安でしたが幕が開いている間は忘れられ、普通に楽しめてしまいました。

自分でもビックリするくらい楽しかったし、また来ようと思いました。

そして、私が宝塚歌劇を好きなのをやめることは、おそらく出来ないのだろうとも思いました。

 

 

私は宝塚歌劇が好きです。

だからこそ、劇団には改革を強く求めます。