宝塚に恋して

美しいものを見ることには価値がある。

花組「マスカレード・ホテル」感想

 

スカステで放送された、花組・瀬戸かずやさん主演「マスカレード・ホテル」を観ました!

豹変する音くり寿ちゃんを観たかったのと、あきらさんのサヨナラショー群舞の曲が好きだったので🙌

映画は視聴済みで面白かった記憶です。

 

 

全体的な感想

良かった。

まぁそもそも話が面白いよね。

宝塚にしては地味な方だと思うけど、でも上手い人ばっかりだったのでずっと集中して観れました。

新田と山岸が少しずつ信頼関係を築いていくところとか、新田がシンプルにカッコよかったとか、演目が宝塚的でない分フィナーレが王道なテイストで綺麗なところがポイント高かったです。

あとメタモルフォーゼとディスタンスの歌はちょっと面白くて笑っちゃった。ずっと頭の中に残っているのでやめてほしい笑笑

 

主人公コンビの関係性が良い

まず主人公・新田、シンプルにカッコよかった!!

まぁ…映画ではキムタクだしな…。

最初の髪型は微妙だったので髪を切ってくれて安心しました笑

上に反抗するタイプの刑事なのに帰国子女かつ作中でもイケメン設定!

これは強い。

あきらさんはこういう男くさい男が似合うよね。

男が好きな男というか。

 

新田と山岸の信頼関係が徐々に出来ていく過程に説得力があり、お互いの良さが引き立って、観ていて気持ちが良かったです。

これはベテランのあきらさん&希和ちゃんだからこそだと思います。長い間タカラジェンヌとして真摯に取り組んできたところが、新田&山岸の「自分の仕事に誇りを持って懸命に働いている」ところと重なっていると感じるから。

 

最初の新田は割とホテルマンの仕事をナメてて(でも仕事だから最終的に言うことは聞く)、それを山岸も察したからムッとしてる(でも仕事だから指導する)、という2人。

でも一緒に働くうちに、それぞれの能力に助けられ、互いの仕事を尊重し始めます。

山岸の仕事や、それに対する姿勢を認めた新田が、徐々に立派なホテルマンとして成長するのが面白い!笑

 

こうしてホテルマンで馴染んだかと思いきや、結婚式に犯人が来るかもしれない話になるとスッと刑事の顔になるんだからズルい!

そしてクライマックスでは刑事として山岸を救うところが、もうめちゃくちゃカッコ良くてさらにズルい!!!

 

あの場面により、

 

「新田がどれだけホテルマンとして成長していようとあくまで刑事である(だから犯人を確保し山岸を助けられた)」

 

「山岸がどれだけ優秀であろうとあくまでホテルマンである(よって犯人を撃退は出来ない)」

 

という事実を突きつけられるので、2人はやっぱり異業種で、それでも互いの仕事やそれに対する姿勢をリスペクトしていることが強調されるわけです。

いやぁこの関係、尊いわ〜。

キュンとは別の分類ですけど、これも素敵ですよね。

 

お芝居が良い

主演コンビも良かったけど、他の人たちのお芝居も良かった〜!

 

まず当初の目当てだった音くり寿ちゃん。

さすがでした!!!

最初のお婆さんの変装のときも、声や仕草がまさにそれ…!さすがにお肌がつやつやすぎたけどそれは仕方ない笑

犯人のときの豹変ぶりも歌も迫力があって怖かった…!!

特に歌の中で子供を励ますときの声真似とか、まるでその時のようで狂気を感じましたね。

 

それから栗原役の高翔さん。

すっごいイライラした!!!笑

仕事を思い出しちゃいましたよ笑

でもそれだけイライラさせられるってことは、お芝居が上手いってことなんだよなぁ、としみじみ思いました。

 

そして能勢役の飛龍さん。

コメディのタイミングがバッチリ!!!

可愛くて面白くて貴重な癒し要員でした。

良い人オーラもあった笑

 

あとベルボーイの帆純まひろが単純にカッコよかったです。

 

フィナーレが良い

めちゃくちゃ王道なフィナーレでひたすら美しかったです!!!

男役も娘役もお衣装がシンプルながらクラシカルかつ上品で良かったし、花組ってこんなにコーラス上手だったんだ!ってくらい綺麗でした。

特に男役群舞とデュエットダンスがお気に入りです。

男役群舞の「諦めはしない 踊り続ける」という歌詞が、あきらさんのジェンヌ人生と新田の信条のどちらにも重なってジーンときて好きです。

デュエットダンスもひたすら上品で、影ソロの音くりちゃんの歌声が幻想的で、本当に美しかった!

 

別格組の良さを知れた

私はどちらかと言えば上手さよりスター性重視で、上手さが最優先なら外部を観るべきだと考えてすらいる人間なんですね。

だから正直、「別格には別格の良さがある」とか「トップになることだけがゴールじゃない」とか聞きますけど、私はイマイチ賛同できませんでした。

だってせっかく舞台に立つなら真ん中の主役が絶対良いに決まってるし、自分が1番目立つ方が絶対に楽しいじゃん!!!

でも今回の作品を観て「実力者が揃うと、こういう毛色の良い作品が出来るんだな」と。

キラキラやトキメキとはまた違うし、全部こんな作品にしてほしいかと言えばそんなことはないけれど、それはそれでこんな魅力があるんだね、という発見でした。

 

おわりに

正直ここまで思い入れのある作品になるとは思わなかったです笑

残念なのは、上に挙げた生徒さんのほとんどが退団(予定)者となったこと。

今思えば新しいトップコンビを支える実力者たちのチームだったんでしょうから、どうしても彼女たちの退団は損失だと考えてしまいます。

「宝塚的な華やかさは欠けるが良いお芝居」と「宝塚的な美しいフィナーレ」がセットになった良い作品でした。